ジャブスコ電動トイレ完治!


 変なタイトルで済みません。

結論から言うとトイレ直りました。お待たせしました。

前回トリムタブの話で、もしかしたらこれはこれで正しいのでは、

という仮説にたどり着きましたが、やっぱり違いました。故障でした。

で、今回はその辺のくだりを延々と書きます。長いです。

なぜならネットで調べても、同様の事例にたどり着けなかったからです。

ジャブスコトイレの不調でお困りの方に分かりやすいように書きますので

釣りのゲスト様は飛ばしてください。全然面白くないです。

 

 前回のおさらいです。私の船のトイレはジャブスコの電動式コンパクト

ボウル(37010-0090)です。このトイレが、ある日流れが悪くなっているのを

発見したのは、かれこれ半年前です。

というのも、私は前の船から通算して10年ほどマイボートに乗ってきて、

一度も大の方でお世話になったことがなかったので気づいていなかった

のですが、ある日、小の方の用を足して水を流しても、ボウルの中に

水が貯まる一方で、流れて行っていないことを発見してしまいました。

水を流し続けると、あふれてしまうではないですか。

で、たまった水は少しずつ、いつの間にか、流れて行っています。

最初に疑ったのは、当然ですが排水ホースの詰まりです。

家庭用のスッポンを買ってきて試してみましたが、特に”やつ”が逆流して

くることはありませんでした。

マリントイレに精通した今だからこそ言います。

「マリントイレにスッポンは全く無意味です。」

なぜなら、すぐ先にジョーカーバルブ(逆止弁)が付いているため、

スッポンしても排水パイプ内に詰まった”やつ”には全く作用しないからです。

 当時は上架して陸上保管でしたので、陸上で給排水パイプ内をすべて

チェックしましたが、まあ若干の汚れはあったものの特に詰まっている所は

ありませんでした。陸上でバケツを使ってボウルに水を貯め、

スイッチを押すと、ちゃんと排水します。ここで、思ったのです。

これは故障ではなく仕様なのではないか?

なぜならこの船のトイレには、給水バルブも排水バルブも無いからです。

前の船では、通常両バルブとも閉めておいて、使う際は給水バルブだけを開けて

数秒ポンプを作動させて水をボウルにため、流す際は排水バルブを開けて

スイッチオンして流していました。

しかし、この船にはトイレ内にバルブがありません。(もちろんスルハルには

バルブがありますが、トイレとは別の場所です)。

つまり、通常はバルブ操作をしなくても、一定の水位までは水が溜まり、

定量以上になると自動的に給水量=排水量になる便利な機能が付いて

いるんじゃないかと思ったわけです。それには喫水位置とトイレ水位に

関連があって、私の船はプレーニングを早めるために砂利を大量にバウに

積んだことで、トイレの水位が上がってしまったと考えたわけです。

トリムタブを付けることでプレーニング問題は解決したため、

砂利はほとんど下しました。

しかしどうやら喫水は関係なかったようで、やっぱり排水はできません。

ここまでが、前回のおさらいです。ナガ。

 

 さて、そうすると次に考えるのは、トイレの排水ポンプ(インペラ)が摩耗して

いるのではないかということです。

海水ポンプのインペラのようなゴム製のものなら、定期的に交換しなくては

摩耗して性能が悪化するのは道理です。

さてさてインペラの交換で直るのか、モーターごと交換か(5万円コース)、

はたまた便器ごと総とっかえか(10万円コース)。

そして悟りました、自分がこの辺の構造を全然知らないことを。

 ジャブスコの国内の代理店はニッパツメックで、部品は今でも供給されています。

ならば、ポンプを外して開けてみようじゃないのと、事ここに至ってようやく

初心に立ち返りました。やはり、”やつ”がどこかに詰まっているのではないか

という危惧が修理の原理原則から遠ざけていたようです。

パーツ図です。

 まず分解するにあたり、youtubeあたりから調べてみました。

それに従って外して見ました。伝家の宝刀、WAKO’sのラスペネの威力は絶大で、

すべてのボルトは楽勝で山をつぶさず外せました。

排水インペラは硬質の樹脂製で、摩耗するようなものではありませんでした。

吸水インペラはゴム製ですが、そんなに摩耗はしていません。

そもそも給水は何も問題ないですし。さて、なんでやろ?

分解するとこんな感じ。

便器を外して台座だけにした状態。青いホースが排水側。


 排水経路は、便器のベースに一体化してる樹脂製の排水口に、

ジョーカーバルブ(以下逆止弁といいます)が収まっている筒をねじ止めし、

それに排水ホースをつなぎます。

つまりモーター部を外さなくてもこの部分だけ外すことができるのです。

今にして思えば先にこれを外していればよかったのですが、

モーター部を外した後、最後に外してみると、アレ?

youtubeで見たのと逆止弁の形が違う。

youtubeニッパツのパーツ図では先が三又?になっています。

つまりホースの先を親指と人差し指と中指でつまんでつぶしたような形

とでも言いましょうか。しかし、私のは一文字です。

親指と人差し指でつぶした感じ。しかも材質がゴムでなく薄手の樹脂製です。

さらに樹脂の劣化のせいか結構固くなっていて、これでは排水インペラ

の水圧では開かんわな、という感じです。

そこで逆止弁を外して組み立てなおし、モーターもあったように取り付けて、

試運転。流れたー!

 しかし、盛大に水漏れが・・・。逆止弁はパッキンも一体化しているので、

外すことによってそこから漏れるのは覚悟していましたが、どうも組付け

なおしたモーター部と便器台座のシールがうまくいっていないようです。

一応、Oリングははまっているのですが台座のプラスチックも少し

変形してるみたいで。

しからば、ジョーカーバルブだけでなく、Oリングなどもセットになっている

サービスキット(37040-0000)を取り寄せ、一気にメンテナンスをやっちまう

ことにしました。いつもお世話になっているNEONETマリンに発注!

・・・2日で届きました。税込み10,000円弱です。

 

 一度分解して、組み立てなおしてるので構造は分かってます。

一番のネックはモーター部と便器台座が4本のねじで止まっているのですが、

これが外しにくい。

もちろん便座は邪魔なので外します。

しかし、モーターそのものが邪魔をして下の2本は手探りで位置を確認する

必要があります。さらに、隙間が狭いため細身で短めのマイナスドライバー

しか入らず、かなり難儀します。

短めというのは、私の船の場合、後ろの壁とのクリアランスの影響です。

 何とか外して、分解していきます。

モーターシャフトに吸水インペラと排水インペラ、金属製のチョッパー

プレートが串刺しになっています。

面倒くさいのは排水インペラとチョッパープレートの間にマセレーター

ハウジングというカバーみたいなのを挟まなくてはならず、

これが組み立て時も分解時も結構邪魔です。

 さて順番に分解していって、吸水インペラも交換します。

まあそんなに使うものじゃないのでエンジンの海水ポンプのインペラとは

比べ物にならないのでしょうが全然減っていません。

でもせっかくだから交換します。

プーラーなんか使わなくてもあっさり外れました。

分解時の逆に組み立てていきます。

給排水を分離する壁のようなパーツは樹脂製なので、交換する必要は

なさそうに思いますが、吸水インペラ側のガスケットがへばりついて

しまっていて、はがせないので交換します。

なんとなく向きが分かりにくいゴムブッシュもあるので、

分解する前に写真を撮っておくとよいです。

単体で組みあがったら例の4本ねじで台座に取り付けるのですが、

インペラの外側のマセレーターハウジングがブラブラして位置決めしにくく、

うまくはめないとOリングがはみ出します。

排水側の逆止弁は簡単です。ねじ3本外してパーツを挿入し、はめるだけ。

外した便座は邪魔なので外に。この場所も開放的で悪くないかも。



 この後、便器本体を取り付けて、ホースと配線をつなぎ、スイッチオン!

ガギゴギガギ、モーター止まっちゃいました。

スイッチを押しなおしても、リレーの音はしますが動きません。

ロックしちゃったようです。

あちゃー、結局モーター交換かあ、と思いましたが、とりあえずまた便器を外し

配線とホースを外しモーターを台座から外します。で、またモーター部を分解。

ロックはしていないようですが、排水インペラの外周部が若干削れ黒くなっています。

多分、マセレーターハウジングとせってしまって回転できなくなったのでしょう。

原因は分かりませんが、とりあえず排水インペラも外して、

電源だけつなぎスイッチオンすると無事回転しました。

保護装置が作動しただけのようです。

今度は慎重に組み立てて毎度の4本ねじ、便器本体、配線、ホースと組み立ててGO!

 

 アレアレアレアレ?給水量が少ないぞ。ちょろちょろとしか入ってきません。

排水の方は全く問題ありませんが、今度は給水側ですか?

うまくいきませんねぇ。

給水量が少ない原因は三つ考えられます。

吸水インペラより前側で空気を吸い込んでいるか、後ろ側で漏れているか、

インペラ本体の問題かです。

 とにかく諸々外さずにできるホースのジョイント関係をチェックしますが、

特に問題はなさそうです。

だいぶ日も傾いてきましたので悩みましたが、もう一回分解です。

このころには、目をつぶっていてもできるようになってましたし。

 順番に分解していって、最後に吸水インペラを外します。

いままで給水系には何も問題がなかったわけですから、

インペラに問題があるなら元のに戻せば直るはず、

というわけでインペラを比べてみると、何か違う。

もちろん形は一緒ですが、ブレードの厚みが元のに比べると2/3くらい

しかありません。

これが原因かなあ?でも純正のサービス部品だし、

互換性は確認してあるはずだよなあ、とか思いつつ時間も無いので、

元のインペラに戻して、熟練の域に到達している工程で、

アッという間に組み立て完了。

 

 スイッチオンすると、流れました~。完璧です。

あとは残水の若干の水漏れがあるのですが、これはシール材で何とかなるでしょう。

最初に書いたように、先に排水側の逆止弁だけ外して交換していれば、

水漏れはしていなかったでしょうが、おかげでいい勉強になりました。

 

 後日、シールをしようとしましたが、下の方はきちんとはできませんでした。

台座部分を外せば完璧にできるのですが、ボルトナットで留まっていて

どこかに穴を開けて片手を突っ込まないと外れないと信じ込んでいたので

とりあえずニトリの吸水スポンジ2個をポンプ周囲において完了としました。

漏れるのはボウル内の残水だけですので、スポンジ2個で約300ccの吸水力が

あれば余裕です。

 

 でさらに後日、ものは試しに台座のボルトにラスペネ吹いて回してみました。

固いけど回ります。まあすぐに空回りするんだろう、と思って回し続けたら

抜けました。なんとボルトではなくネジでした。3本はずしたら、あっさり

台座は外れました。思い込みというのはだめですね。最初から外していれば

手探りの分解組み立ても必要なく、めちゃくちゃ容易にできたでしょうに。

というわけで、台座ごとポンプを外し、密着部にぐるりとシーラントを塗って

水漏れ修理完了、完璧に直りましたとさ。めでたし。

 

 なお、私のポンプの製造番号は18l14724です。

吸水インペラの仕様が現行と違っているのは確認しましたので、もし今後、

インペラが摩耗した場合、ポンプ交換を覚悟しないといけません。

まあ、摩耗するほど使うことはないと思いますが。

 

 一連の修理が、どなた様かのご参考になれば幸いです。

 

PS

文中で、給排水バルブが無いのは、自動的に水位調整をしているのでは、

と書きましたが、実はその通りでした。ただ、その水位は、喫水とは

関係なく、排水ホースの立ち上げ高さで決まります。例えば、床から

10cm立ち上げれば、ボウル内の水位も10cm分、残る感じです。

ただしボートは前後左右に揺れますので、その際に少しずつ排出されていき

普段はそれほどは残水はないようです。